
大学病院の内科の医師でも、漢方薬を使ったことが一度もない医師は数%しかいません。今や漢方薬は現代医療の治療の一つとして定着してきました。
大建中湯も比較的よく使われている漢方薬です。体力が低下して冷え性の人に良く使われています。腹痛やお腹が張る腹部膨満感、ガスが貯まる鼓腸が主な適応症です。その他、腹壁が弱く薄い人や、お腹の蠕動運動が乏しい人、お腹の手術後の腸管通過障害などにも好んで使われています。腸管の働きを安定させる作用があるからです。腸の働きが過剰になる下痢や、逆に動きが鈍くなる便秘とのバランスを取ってくれます。
そのため、大腸がんの術後対策に使う医師も多いのです。直腸から肛門にかけて手術をした場合、下痢や便秘を繰り返しやすいのですが、便秘だからと下剤を使うと体力が消耗しやすいので術後の患者さんには不向きです。その点、漢方薬の大建中湯なら体の恒常性を保ちつつ術後早期のこのような悩みに威力を発揮します。